ワイン試験の基礎問題集

練習問題を作ってみた

日本ソムリエ協会教本「アルゼンチンのワイン」

ソムリエ教本の「アルゼンチンのワイン」に関する記述での間違いや気になったことについて書いています。

1998年版教本(平成10年)

「歴史・気候・風土・土壌」の説明で p.392 に 低湿と小雨は、隠花性の病気のない健全なぶどうを育て と書かれていますが、隠花性のぶどうとはどのようなぶどうなのでしょう。

土壌の説明で PH8とアルカリ性で、カルシウム、カリウムに富み、窒素、燐など有機物に乏しい。 と書かれていますが、窒素も燐も有機物ではありません。

ぶどう畑の灌漑に関する説明で ぶどうの成長に合わせて最適な量と時期の水分を供給する人工的な設備として畔、冠水、ドリップの3灌漑方式が採られている。 と書かれていますが、畔は灌漑方式にはならないと思います。

「主な栽培ぶどう品種」の説明で p.393 に メンドーサとサン・ファンにおいて、白ぶどう(2)の栽培面積が11,612ha、黒ぶどう(2)が16,901ha、計28,513haで14.18%を占める。 と書かれていますが、p.396 の[地方別、栽培生産状況 1996年]に載っているメンドーサとサン・ファンの合計栽培面積(192,633 ha)の 14.18 % は 27,315 ha になります。栽培面積(28,513 ha)が間違っているのでしょうか、それとも比率(14.18 %)が間違っているのでしょうか?

白ぶどう(2)は主な栽培ぶどう品種のリストではシャルドネに、黒ぶどう(2)はカベルネ・ソーヴィニヨンになっていますが、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンにしては栽培面積が大きすぎるので品種も間違っているのかもしれません。ちなみに、白ぶどう(1)はクリオージャ・グランデで、黒ぶどう(1)はボナルダになっています。

28,513 ha と 14.18 % という数値は1998年版だけでなく1999年版、2000年版、2001年版教本でも使われています。

ぶどう品種のリストにピノ・ブランコとゲヴュルツトラミネルが入っていますが、1996年のピノ・ブランコの栽培面積は 85 ha、ゲヴュルツトラミネルは 10 ha しかなく、主な栽培ぶどう品種というには無理があると思います。

また、その自生地であるメンドーサで発見されて以来、アルゼンチンのマルベックは世界的に再評価を受けている。 という記述がありますが出鱈目です。

Malbec〈マルベック〉は Vitis vinifera〈ヴィティス・ヴィニフェラ〉に属する栽培品種で、ワインを造るためにアルゼンチンに持ち込まれ栽培されています。栽培品種は挿し木等によって増やし植えられていて、自生している訳がありません。

「ワインの法律と品質と品質分類」の説明ではデノナミシオン・デ・オリヘン(Denominación de Origen)として認められているワイン産地としてルハン・デ・クージョ(Luján de Cuyo)、サン・ラファエル(San Rafael)、バジェス・デ・ファマティナ(Valle de Famatina)の名が上がっていますが、州レベルで認められているだけのようです。

また、デノナミシオン・デ・オリヘンではなく Denominación de Origen Controlada〈デノナミシオン・デ・オリヘン・コントロラーダ〉として認められています。

コピペ元は分かりませんが、p.402-404 の南部(Region Sur)の説明で使われている文章と、Vinos de Argentina で使われている文章はかなりの部分で同じになっています。コロラド川上流域の説明の 栽培面積は125ha という箇所等……が分かりやすいと思います。

ちなみに、「ワインの産地と特徴」の p.397-404 の文章のほとんどが2015年版教本でもそのまま使われています!!!

サン・ファンの説明で p.400 に そよ風とうねった土地はぶどうの自然乾燥に好条件をもたらし と書かれていますが、土地がうねることによって気温が上がったり、湿度が下がったり、風が強くなったりでもするのでしょうか?

コロラド川上流域の説明で p.403 に リオ・ネグロ州のペニャス・ブランカス県(Peñas Blancas)、バジェ・ベルデ県(Valle Verde)とラ・パンパ州のコロニア・ベインティシンコ・デ・マジョ県(Colonia 25 de Mayo)からなる。 と書かれていますが、リオ・ネグロ州にはペニャス・ブランカスとバジェ・ベルデという県がありません。

ちなみに、Peñas Blancas という町がリオ・ネグロ州のヘネラル・ロカ(General Roca)県にありますが……。

また、ラ・パンパ州にはコロニア・ベインティシンコ・デ・マジョという県がありません。25 de Mayo という町がラ・パンパ州のプエレン(Puelén)県にありますが……。

p.404-405 にアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイを中心に構成される MERCOSUR〈メルコスール〉の説明があり、ブラジルのワイン消費量について 1人あたりワイン消費量が年間25ℓまで伸びている。 と書かれていますが、1996年のブラジルのワイン消費量は1人あたり約 1.5 l しかありません。p.405 の表に載っているブラジルのワイン消費量を見れば 25 l が間違いだと分かりそうなものですが……。

1999年版教本(平成11年)

1998年版と同じ内容です。

2000年版教本(平成12年)

概略(ぶどう栽培面積、ワイン生産量等)と「地方別、栽培生産状況」のデータは更新され、本文では一部の比率等が変わっています。

「ワインの法律と品質と品質分類」の説明に 1999年9月政府は、原産地呼称と地域認定に関する法律を制定した。 という記述が加わっています。VINOS Y BEBIDAS ESPIRITUOSAS DE ORIGEN VINICO Ley 25.163 が制定されたことから、原産地呼称として 現在以下の3地区が認定され という記述は間違いになると思います。州レベルで認められていた DOC は無効になるでしょうから……。

ちなみに、Luján de Cuyo が DOC として認められたのは2005年で、San Rafael は2007年になります。

p.577 の中央西部の説明に 全栽培面積の91.34%を占める中心地 と書かれていますが、91.34 % という数値は2015年版教本まで使われています。

また、各地区の主要なぶどう品種等を含め、年ごとに変わるであろうデータも2015年版教本まで更新されずに使われています。

2001年版教本(平成13年)

栽培面積を除いて概略のデータが更新されています。

2002年版教本(平成14年)

概略のデータが更新されています。

2003年版教本(平成15年)

概略と「地方別、栽培生産状況」のデータが更新されています。

2004年版教本(平成16年)

概略のデータが更新されています。

概略に 1982年から1992年の間、実に115,650ha 33%も減反された。 と書かれていますが、2003年版教本では 1982年から1992年の間、実に115,650ha 36%も減反された。 と書かれ、1999年版教本では 1982年から1992年の間、実に115,600ha 36%も減反された。 と書かれていました。ちなみに、アルゼンチンの1982年の栽培面積は 324,407 ha で1992年は 208,752 ha だったようなので 115,655 ha, 35.65 % の減反になります。

2005年版教本(平成17年)

概略のデータが更新され、「主な栽培ぶどう品種」のリストに栽培面積が加わっています。教本ではぶどう品種ごとの栽培面積は2002年のデータとされていますが、使われているのは2001年のデータだと思います。

2006年版教本(平成18年)

概略と「地方別、栽培生産状況」のデータが更新されています。

2007年版教本(平成19年)

概略のデータが更新されています。

2008年版教本(平成20年)

概略のデータが更新され、「主な栽培ぶどう品種」のリストの分類が白ぶどう、ピンク系品種、黒ぶどうに変わっています。品種ごとの栽培面積も2004年のデータに更新されています。

ちなみに、以前の教本ではピンク系品種は白ぶどうに分類されていました。

2009年版教本(平成21年)

概略のデータが更新されています。

2010年版教本(平成22年)

概略のデータが更新されています。

2011年版教本(平成23年)

概略のデータが更新されています。

2012年版教本(平成24年)

概略のデータが更新されています。

2013年版教本(平成25年)

概略のデータが更新され、「主な栽培ぶどう品種」のリストが2009年のデータに、「地方別、栽培生産状況」が2011年のデータに更新されています。また、「主な栽培ぶどう品種」のリストからピンク系品種が削除されています。

2014年版教本(平成26年)

概略のデータが更新されています。

p.444 の地図ではワイン産地を North, Cuyo, Patagonia の3地域に分けていますが、本文では中央西部(Región Centro-Oeste)、北西部(Región Noroeste)、南部(Región Sur)に分けられています。地図と本文で地域の分け方を変える必要があるのでしょうか?

ちなみに、p.444 の地図は Wines Of Argentina以前使われていた画像のコピペです。

2014年度 ワインアドバイザー呼称資格認定試験に アルゼンチンの D.O. に認定されているラ・リオハ州に属する地区を 1 つ選んでください。 という誤問が出ています。

「Valles de Famatina」が正解になっていましたが、Valles de Famatina は IG として認められているワイン産地です。出題元の教本が間違っているのですが……。

2015年版教本(平成27年)

p.410 の中央西部の説明に 全栽培面積の91.34%を占める中心地 と書かれていますが出鱈目です。栽培面積比率を計算するのが面倒なのか、91.34 % という数値は2000年版教本からずっと使われています。ちなみに、2015年版教本のプロフィールで使われている2012年の全栽培面積に対する比率では 92.49 % になります。

p.411 のメンドーサの説明で 例年総生産の70〜75%を占める。 と書かれていますが、同ページの「地方別、栽培生産状況(2013年)」に載っているデータではメンドーサのワイン生産量は 78.59 % を占めています。「70-75 %」という数値は1998年版教本から毎年使われています。

メンドーサ北部(ラバジェ県とラス・エラス県)の説明で セレーサ、クリオージャ・グランデ、モスカテル・ロサドのロゼ系とトロンテス、ペドロ・ジメネスが主要な品種であり、生食と干しブドウの生産も盛んである。 と書かれていますが出鱈目です。

メンドーサ北部(ラバジェ県とラス・エラス県)ではロゼ系のセレーサが最も栽培面積の大きい品種ですが、2番目は黒ぶどう品種のボナルダで、白ぶどう品種のペドロ・ジメネス、黒ぶどう品種のシラーが続きます。2012年のデータでは黒ぶどう品種が栽培面積の約 44 % を占めています。

また、食用ぶどうの栽培面積は 3 % ほど、干しぶどう用は 1 % にもなりません。

p.412 のルハン・デ・クージョの説明で マルベックを中心にカベルネ・ソーヴィニヨン、シュナン、メルロ、シャルドネ、シラー、ユニ・ブラン、トカイ・フリウラーノが植えられている。 と書かれていますが、2012年のデータではトカイ・フリウラーノの栽培面積は 7 ha ほどでしかなく、ルハン・デ・クージョのぶどう栽培面積の 0.05 % にしかなりません。トカイ・フリウラーノだけでなく、栽培面積が 100 ha にもならないユニ・ブランやシュナンより、白ぶどうであればソーヴィニヨン、ペドロ・ジメネス、セミヨンなどを加えたほうがいいと思います。

また、仕立ては低い垣根と棚式である。 と書かれていますが、ルハン・デ・クージョのぶどうの仕立て方で多いのは Espaldera Alta 63.3%, Parral 21.6 %, Espaldera Baja 14.5 % になっています。教本で言う「低い垣根」は Espaldera Baja になると思います。(高い垣根は Espaldera Alta、棚は Parral ?)

メンドーサ東部(サン・マルティン県、リバダビア県、フニン県、サンタ・ローサ県、ラ・パス県)の説明で 州のブドウ園の49.34%が集中した、メンドーサ最大の産地である。 と書かれていますが、メンドーサ東部の栽培面積は 43.63 % になります。(49.34 % はぶどう園の数の比率ではないと思いますが……。)

主な品種は、クリオージャ・グランデ、モスカテル・ロサド、ペドロ・ジメネス、セレーサ、マルベック、ボナルダ、テンプラニージョ、サンジョヴェーゼ、バルベーラ、ユニ・ブラン、メルロ、シラーである。 と書かれていますが、2012年のデータではバルベーラの栽培面積は 106 ha ほどで、メンドーサ東部の栽培面積の 0.15 % にしかなりません。

バジェ・デ・ウコ(トゥヌジャン県、トゥプンガト県、サン・カルロス県)の説明で メンドーサ州の6.06%を占め と書かれていますが、2012年の栽培面積ではメンドーサ州の 16.25 % を占めています。

また、ブドウ品種は黒のマルベックの他、テンプラニージョ、バルベーラ、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、サンジョヴェーゼ、シラー、白ではセミヨンの他、トロンテス・リオハーノ、ペドロ・ジメネス、シャルドネ、シュナンなどである。 と書かれていますが、バルベーラの栽培面積比率は 0.23 % 、シュナンは 0.16 % を占めるにすぎません。

メンドーサ南部(サン・ラファエル県、ヘネラル・アルベアル県)の説明で メンドーサ州の18%を占める と書かれていますが、2012年の栽培面積ではメンドーサ州の 11.95 % になります。

また、ブドウ品種はシュナンを中心に、マルベック、ボナルダ、カベルネ・ソーヴィニヨン、テンプラニージョ、ペドロ・ジメネスなどを用い、灌漑の間に低い垣根で仕立てられている。 と書かれていますが、栽培面積が 700 ha ほどのシュナンが中心というのは無理があると思います。

また、サン・ラファエル県とヘネラル・アルベアル県のぶどうの仕立て方で多いのは Espaldera Alta 48.7 %, Parral 28.9 %, Espaldera Baja 21.9 % になっています。

サン・ラファエル県とヘネラル・アルベアル県の主なぶどう品種(2012年)
  • Criolla Grande : 2,454 ha
  • Cereza : 2,335 ha
  • Bonarda : 2,138 ha
  • Moscatel Rosado : 2,137 ha
  • Malbec : 1,771 ha
  • Syrah : 1,584 ha
  • Cabernet Sauvignon : 1,580 ha
  • Pedro Gimenez : 937 ha
  • Chenin : 705 ha
  • Merlot : 611 ha

p.412 のサン・ファンの説明で 州の中央部に南北100km幅5〜50kmに延びるバジェ・デル・トゥルン(el Valle del Tulum)と生産量がそれより少ない、バジェ・デル・トゥルンに近く、南北に15km、東西に5〜15kmに延びる、バジェ・デ・ゾンダ(el Valle de Zonda)とバジェ・デ・ウルム(el Valle de Ullum)に広がっている。 と書かれていますが、Oasis de la provincia de San Juan の地図を見ると「州の中央部」や「南北100km」という記述は間違っているように思えます。

p.413 には 先に挙げた3渓谷は標高630mにあり と、バジェ・デル・トゥルン、バジェ・デ・ゾンダ、バジェ・デ・ウルムの3地区が標高 630 m に位置しているように書かれていますが、Regiones | Wines Of Argentina にある地図に載っている各地区の標高はかなり違っています。

サン・ファンのぶどう品種として 品種はロゼと白ワイン用が赤ワイン用を凌駕している。白ワイン醸造、濃縮果汁、生食、干しブドウと多目的に用いられるロゼ系統のセレーザを筆頭に、栽培面積でモスカテル・デ・アレハンドリア、ペドロ・ジメネス、トロンテス・リオハーノが次ぐ。 と書かれていますが出鱈目です。

また、約2,000haに垣根と棚に半分ずつ仕立てられ、シャルドネ、シュナン、セミヨン、ピノ・ブランコの白ブドウとカベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、メルロの黒ブドウが植えられている。 という記述があるのですが意味が分かりません。フランス原産の品種が 2,000 ha で栽培されていると言うことなのでしょうか?(アルゼンチンでのピノ・ブランコの栽培面積は2012年で 8.5 ha ありますが、サン・ファン州では栽培されていないようです。)

サン・ファン州の主なぶどう品種(2012年)
  • Cereza : 11,212 ha
  • Flame Seedless : 3,284 ha
  • Syrah : 3,090 ha
  • Superior Seedles : 3,063 ha
  • Pedro Gimenez : 2,541 ha
  • Bonarda : 2,275 ha
  • Moscatel de Alejandria : 2,207 ha
  • Malbec : 1,970 ha
  • Red Globe : 1,861 ha
  • Torrontes Sanjuanino : 1,755 ha

北西部のペリコとエル・カルメン(Perico y El Carmen)の説明で p.413 に フフイ州エル・カルメン県にある、生食向けの100haの栽培地区である。 と書かれていますが出鱈目です。1992年にはフフイ州全体でぶどう栽培面積が 102 ha あったようですが、2012年には 11 ha ほどに減っていて、エル・カルメン県では約 3 ha の畑で醸造用ぶどうのみが栽培されているだけです。

また、年間降水量は600mmを超え、それは12月から3月に集中している。 と書かれていますが El Carmen Monthly Climate Averages のデータを見ると12月から3月に集中というのは無理があるように思います。

バジェス・デラ・プロビンシア・デ・カタマルカ(Valles de la provincia de Catamarca)の説明で p.414 に この州の栽培面積の70%をもつ西部のティノガスタ(Tinogasta)県は、ブドウを生食と醸造に供している。 と書かれていますが、2012年のティノガスタ県のぶどう栽培面積は州の 57.5 % でしかありません。また、栽培されているぶどうの多くは醸造用で、生食用としては栽培面積の 4.7 % ほどです。

ラ・リオハ(La Rioja)の説明で 標高は800〜1,400m と書かれていますが、Regiones | Wines Of Argentina にある地図には標高 1,400 m を超え、1,850 m にまで達する地区も載っています。

ワイン用ブドウ以外では、スルタニナ・ブランカ、アリスル(Arizul)、カルディナルが生食と干しブドウ向けに植えられている。カルディナルはこの地の最初の畑である。 と書かれていますが、「カルディナルはこの地の最初の畑」の意味が分かりません。ラ・リオハの畑に初めて植えられたぶどう品種がカルディナルということなのでしょうか?

チレシト県は州のブドウ栽培の70.27%を占める中心地であり、これにコロネル・フェリパ・バレラ(Coronel Felipe Varela)県、ファマティナ、カストロ・バロス(Castro Barros)県、サン・ブラス、デ・ロス・サウセス(San Blas de los Sauces)県が続く。 と書かれていますが、チレシト県は州の栽培面積の 82.2 % を占めています。

棚栽培が87.26%と主体だが、「マフエロ・リオハーノ」(“Majuelo Riojano”)と呼ばれる高い垣根もあり の記述は翻訳ミスだと思います。コピペ元は分かりませんが Vinos de ArgentinaEl sistema de conducción predominante es el parral, con el 87,26 %, siguiéndole en mucha menor importancia, el "majuelo riojano", el espaldero alto y algunos viñedos en sistema de cabeza. El "parrón" (parral alto) se utiliza es los departamentos de Sanagasta, Castro Barros y San Blas de los Sauces. を読めば翻訳ミスだと分かると思います。マフエロ・リオハーノは垣根仕立てではありません。

マフエロ・リオハーノの仕立て方は La Vitivinicultura hace Escuela - La cultura de la Vid y el Vino(PDFファイル) に載っているイラストが分かりやすいです。

また、2012年の棚栽培の比率は 81.9 % になります。

南部(ラ・パンパ州、ネウケン州、リオ・ネグロ州)の説明で 栽培面積は減少傾向にある。 と書かれていますが、2002年(3,606 ha)から2012年(3,571 ha)の10年間で3州の栽培面積の減少率は 1 % ほどでしかありません。ちなみに、2015年には 3,670 ha になっています。

ネグロ川上流域の説明で 耕地は、この地方の80%を占める と書かれていますが、2012年のデータでは 37.5 % でしかありません。

また、ブドウ品種は黒のマルベック、メルロ、シラー、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、ボナルダ、白のトロンテス・リオハーノ、ペドロ・ジメネス、セミヨン、トロンテス・サンファニーノ、ソーヴィニヨン、トロンテス・メンドシーノ、シュナンが植えられている。 と書かれていますが、シュナンの栽培面積は 0.14 % ほどです。

p.415 のコロラド川上流域のぶどう品種にピノ・ジュベルタン(Pinot Joubertin)の名がありますが、栽培されていないか、栽培されていたとしても極僅かだと思います。

コロラド川上流域のデータは見つけることができませんでしたが、アルゼンチン全体でのピノ・ジュベルタンの栽培面積は1996年には 17 ha あったものの、1999年には 6 ha に、2000年には 1 ha にまで減っています。

2016年版教本(平成28年)

プロフィールのデータが更新され、歴史の記述が増えています。また、地図と本文の地方分類(北部地方、クージョ地方、パタゴニア地方)が統一されました。

2016年版教本のぶどう栽培面積はプロフィールでは2015年のデータ、「主なブドウ品種」の表は2013年のデータ、「主要産地の地方別・栽培生産状況」では2014年のデータが使われ、「ワインの産地と特徴」の各州の栽培面積は2010年のデータが使われています。同じ年のデータで統一することはできないのでしょうか?

地方別・栽培生産状況の表のタイトルは[2013年 主要産地の地方別・栽培生産状況]になっていますが、ブドウ生産量とワイン生産量は何年のデータか見当もつきません。

[2013年 主要産地の地方別・栽培生産状況]の表では Tucuman のブドウ生産量は 244 t で、ワイン生産量は 3,050 hl になっていますが、これではぶどう 1kg から 1.25 l のワインが出来るということになってしまいます。

他の州のデータでもぶどう 1kg から 1.0 l 前後のワインが出来る計算になりますが、普通ぶどう 1kg から造られるワインの容量は 0.7 l 程度のものです。また、収穫されたぶどうのすべてがワインになるとは限らないことも考慮する必要があります。

「ワインの産地と特徴」の説明で降雨量の単位がメートルになっている箇所が幾つかあります。(2017年版で修正されています。)

p.432 の「主なブドウ品種」の説明に トロンテスはスペイン原産。クロージャとモスカテル・アレハンドリアの自然交配によって生まれたとされている。リオハーノ、サン・ファニーノ、メンドシーノの3つのクローンがある。 と書かれていますが出鱈目です。Torrontes Riojano, Torrontes Sanjuanino, Torrontes Mendocino はそれぞれ異なる品種でクローンではありません。

また、教本でクロージャといっているのは Criolla のことだと思いますが、Criolla をクロージャと読むのは無理があると思います。Criolla は Criolla Chica〈クリオージャ・チカ〉のシノニムのひとつで、VIVC では Listan Prieto の名称で登録されています。

「主なブドウ品種」の表には白ぶどうと黒ぶどうがそれぞれ10品種ほど載っていますが、トロンテス・サンファニーノ(2,018 ha)など栽培面積が大きくても載っていない品種があります。(栽培面積のデータは INVEstadísticas Vitivinícolas : Superficie からダウンロードできます。)

コピペ元は分かりませんが REGISTRO DE VIÑEDOS Y SUPERFICIE AÑO 2013.(PDFファイル) の3ページ「Total País - Evolución superficie variedades de alta calidad enológica y otras variedades」の表と同じものを参考に教本の表は作られていると思います。

「Total País - Evolución superficie variedades de alta calidad enológica y otras variedades」の表はこの20年ほどで栽培面積の増減が大きい主要な品種を取り上げたものなので、栽培面積は大きくても載っていない品種があります。

この表は主要な品種の栽培面積の変化を見るためのものなので、1990年、2000年の栽培面積と2012年、2013年の栽培面積を載せることによって初めて価値があります。何故、協会ではこの表を参考にしたのかは分かりませんが……。

それから、この表では2013年の Ugni Blanc の栽培面積が 825 ha になっていますが、2013年の栽培面積は 1,837 ha あるようです。

「ワインの産地と特徴」の北部地方の説明で 7つの産地がある と書かれ、5番目の産地として Ciudad Sagrada de Quilmes の名がありますが、Ciudad Sagrada de Quilmes はワイン産地ではないと思います。たぶん、Ciudad Sagrada de Quilmes はキルメス遺跡のことだと思います。

サルタ州カファジャテの説明で カファジャテで栽培されるブドウの半分以上はトロンテス。マルベック、カベルネ・ソーヴィニヨンのほか、近年はシラーも増え始めた。 と書かれていますが、2013年のトロンテスの栽培面積は 595 ha とカファジャテ県の 27.1 % でしかありません。マルベックの栽培面積は 730 ha あり、カファジャテ県で最も多く栽培されている品種です。

2016年版教本ではサルタ州の栽培面積を約 2,550 ha としていますが、何故、2010年の古いデータ(2,552 ha)を使っているのでしょう?2013年のサルタ州の栽培面積は 2,922 ha 、2014年は 3,051 ha 、2015年には 3,144 ha になっています。

カタマルカ州の説明で トロンテスが主体だが と書かれていますが、カタマルカ州で最も栽培面積の大きい品種は Cereza の 964 ha で、Torrontes Riojano 324 ha の3倍近い栽培面積があります。

クージョ地方の説明で 14産地は北から以下の通りで と書かれていますが、教本の地図のコピペ元であろう画像で12番の Norte はメンドーサ州北部の2県(Las Heras, Lavalle)を、17番の Este はメンドーサ州東部の5県(Junín, La Paz, Rivadavia, Santa Rosa, San Martín)という大きな地域を表し、9番の Zonda はサン・ファン州のソンダ県を、13番の Luján oeste はメンドーサ州ルハン・デ・クージョ県の2地区(Las Compuertas, Vistalba)を表しているので、14産地という表現は少しおかしいと思います。

サン・ファン州の説明で p.434 に ボナルダはマルベックに次いで、アルゼンチンで栽培されている品種で、サンファンでとりわけ増加している。 と書かれていますが、マルベックに次いで栽培面積が大きいのはセレーサ(Cereza)です。黒ぶどう品種ではボナルダが2番目ですが……。

また、2013年のサン・ファンでのボナルダの栽培面積は 2,297 ha 、2008年からの増加は 43 ha なので「とりわけ増加している」ということにはならないと思います。

2017年版教本(平成29年)

p.123 に[主要産地の生産状況]の表があり、各州の2015年のワイン生産量が載っていますが出鱈目な数値です!

表には主要な9つの州が載っていますが、各州のワイン生産量を合計すると24,145,750 hl になり、アルゼンチンの2015年のワイン生産量 13,361,964 hl(教本のプロフィールでは 13,360,000 hl)より極端に大きな数値になってしまいます。

p.124 のクージョ地方の説明に アルゼンチンのワイン生産量の80%がメンドーサに集中している と書かれていましたが、2017年度教本 正誤表アルゼンチンのワイン生産量の大部分がメンドーサに集中している と訂正されました。2015年のメンドーサのワイン生産量は全体の 77.0 % なので訂正するほどのことはないと思いますし、かえって「大部分」だと完全な間違いになってしまいます。

クージョ地方(メンドーサ、サン・ファン、ラ・リオハ州)のワイン生産量は全体の 96.4 % なので、「アルゼンチンのワイン生産量の大部分がクージョ地方に集中している」が本当なのでしょうが……。

メンドーサ州ルハン・デ・クージョのぶどう品種として「ソーヴィニヨンナス」の名がありますが、Sauvignonasse のカタカナ表記を間違えて「ソーヴィニヨンナス」としているだけです。以前の教本では Sauvignonasse のシノニムのひとつであるトカイ・フリウラーノという名が使われていました。

2018年版教本(平成30年)

プロフィールのぶどう栽培面積やワイン生産量が2016年のデータに更新されています。

参考サイト

Instituto Nacional de Vitivinicultura〈国立ブドウ栽培研究所〉

各州・各県のぶどう品種の栽培面積やぶどうの仕立て方による栽培面積のデータは Estadísticas Vitivinícolas : Superficie から、ワイン生産量のデータは Estadísticas Vitivinícolas : Cosecha y elaboración からダウンロードできます。また、IG と DOC のリスト(Lista de I.G. y D.O.C. reconocidas y protegidas de la República Argentina)もあります。

Wines Of Argentina

アルゼンチンワインのプロモーションサイト

La-Doc-Lujan-de-Cuyo-ESP.pdf英語版

教本のルハン・デ・クージョ、サン・ラファエル、バジェス・デ・ファマティナが DO として認められているという記述や、1999年に出版された『The Oxford Companion to Wine : second edition』の Luján de Cuyo が1993年にアルゼンチン初の DOC として認められたという記述の意味がこの記事を読んで理解できました。

この記事を読むまでは、VINOS Y BEBIDAS ESPIRITUOSAS DE ORIGEN VINICO Ley 25.163 が制定されたのが1999年なのに、それ以前にどうして DOC として認められていたの?と思っていました。

ACOVI – Asociación de Cooperativas Vitivinícolas Argentinas〈アルゼンチンぶどう栽培協同組合連合〉

Series históricas | Observatorio Cooperativo から昔の「ぶどう栽培面積等」のデータをダウンロードできます。(ぶどう品種ごとの栽培面積は1978年から。)

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